ピンブラブログ~pinkblood blog~

音楽と猫をこよなく愛する若干隠居気味のバンギャルブログ。

さよなら「ヴィジュアル系」~総括~ 

市川氏は、冒頭の「この文庫を読む前に」で下記のように記述している。

~現在20歳前半のバンドたちに取材で逢うと、「Xをテレビで観て、楽器始めました」とか「実はヴィジュアル系が好きでした」とカミングアウトする奴が、やたら多くて驚きもした。勿論、現在やってる音楽は全くその初期衝動とは無縁だったりする。~略~しかしそのほとんどの連中が、「すいません、ここカットでお願いします」などと自分の過去を隠したがるのである。おいおい、そこまで恥ずかしがるのって、それはそれで失礼な話なんじゃないか?

いや、それがね、いくら自分の好きなバンドに誇りを持っていたとしても、そうそう簡単に曝け出せるモンじゃないのよ。
マイノリティーの葛藤って言うのかな。
以前の記事「カミングアウト」で綴っているように、自分の好きな物を理解して貰えない、はたまた全否定される位なら、一切喋らないほうがマシなのである(最近はポロッとこぼすことが多くなったけど。だってもはや理解してくれなくったっていいんだもーん)。
それは私も経験上、身に染みている。
大袈裟に言えば、物心が付いたときから何となくこの世は身動きが取り辛いと思っていた(笑)。

そう、まさにヴィジュアル系が偏見の塊なのである。
メディア(主にテレビ)によって植え付けられた偏見って酷いでしょう?
リスペクトしていたはずのV系シーンが、V系バンドが、バンギャルが、お茶の間で笑い者にされている様、純粋なファンだったら心底傷付くと思うわ(ネタとして笑えないパターンも多々)。
そして、一度人間の頭にインプットされた情報・思考を覆すことは容易でない。

アーティストの一部が「ヴィジュアル系」という括りを嫌がるように、私たちバンギャル(ヴィジュヲタ)もまた、一括りにされるのが嫌なのである(ここら辺、無限の矛盾ループだろうけど)。
バンドにもバンギャルにもさまざまな種類がいて(これは前述した第3章参照)、それを一から順に説明するのって相当パワーを消費すると思うのよね。

多分、私が何故毎日ヴィジュアル系のことばかり考えているかなんて、ピンブラの記事を全部漁っても理解し難い部分があると思う。
私も他人様のブログやアーティストのインタビューを読んでも、その人の全てなんか分からないし、分からなくてもいいと思う。
喋りたくない人は喋らなくていいし、語り倒したい人は語り倒せばいいし。

V系黎明期からヴィジュアルバブルを経て、ネオ・ヴィジュアル系と受け継がれる…。
それぞれ思いや歴史があって、それが渦のように混沌としているからこそV系シーン面白い。
だからこの界隈から目が離せない。

本書をもって市川氏はV系に愛を込めて「さよなら」を告げたけど(“心の安穏”、一時代の総括という意味で)、私はまだ「さよなら」を告げるつもりはない。

そりゃあ、自分が過ごした時代が一番輝いて見えるモンですよ。
私も己の過去は否定しない。
むしろ大切な思い出が沢山あります。
さよならヴィジュアル系全編を通して綴られているような古き良き時代もあった。
下地が何もなかった時代を羨ましいとすら思う。
だけど、V系の先駆者たちが手放したV系シーンは、今でも常に進化し、退化し、変化し続けている。

確かに今の時代は昔に比べ、インターネットで簡単にプロモーションできるし、クチコミ力もハンパじゃないし、DTPも進化し格安でフライヤーを作れる。
個人レベルでCDもリリースできるし、MP3も配布できる。
その中でも、何だか面白そうなことをやってくれそうなバンドはまだまだいると思うんだよね。
まあ、青田買いはフットワーク豊かな若いバンギャルちゃんに任せるとして、私はのんびり傍観させて頂くつもりだが(笑)。
かつてギャ男(キッズ)だった麺様たちにも期待しています。

そんなわけで長くなりましたが、『さよなら「ヴィジュアル系」~紅に染まったSLAVEたちに捧ぐ~』。
過去をご存知の方はもちろん、その時代を全く知らない方にもオススメです。
「V系とは何ぞや」と考える上で必携の良書だと思うので、未読の方は是非手に取ってみてください。


4812434815さよなら「ヴィジュアル系」~紅に染まったSLAVEたちに捧ぐ~ (竹書房文庫)
市川 哲史
竹書房 2008-05-09

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