ピンブラブログ~pinkblood blog~

音楽と猫をこよなく愛する若干隠居気味(心は現役)のバンギャルブログ。

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【2016】梶本レイカ『コオリオニ』【個人的にこのBLがやばい!】 

コオリオニ(上) (BABYコミックス)コオリオニ(下) (BABYコミックス)

【内容紹介】

“ヤバい男達が組んだ"

1990年代、北海道――…全国を震撼させる警察の不祥事が幕を開ける。

1990年代、警察庁は相次ぐ拳銃事件の対策として全国的な銃器摘発キャンペーンを始める。全国の警察は厳しいノルマを設けられ、それをこなす為に警察がヤクザと手を組むという点数稼ぎのデキレースが横行した。そんな中にエースと呼ばれる男・鬼戸圭輔(きど けいすけ)はいた。彼は何人もの犯罪者を情報提供者として飼い、北海道警察の中で一際多くの拳銃を"摘発"していった。そして彼は自分の運命である誠凛会(せいりんかい)の幹部・八敷 翔(やしき しょう)に出逢ってしまう。より大きい山を当てるために鬼戸は柏組(かしわぐみ)の武器庫に目を付け、八敷を潜入捜査に誘う。八敷は薬の密輸入を目溢しすることを条件に鬼戸と組む。二人は甘美な成功を期待して潜入捜査に乗り込むが――。男達が自らの欲望の果てに見た景色とはなんだったのか。息を吐かせぬ展開で描く渾身のサスペンスBL。

闇、闇、闇、闇、闇ーーーーー。
凍った大地を覆い尽くす、凄まじい闇。
そこへ降り注ぐ、満天の星。

とんでもない物語。
読後の心境を書かずにはいられない、吐き出さずにはいられない、こんな気分になった漫画は久し振りだ。
ただただ圧倒された。
ここまで魂を揺さぶられるのは何故だろう。
己の根底にある闇や暗黒部分を否が応でも思い知らされる。
全て見透かされているような。
まるで、胸ぐらを掴まれ鈍器で殴られているような衝撃を受けた。

梶本レイカ作品は非常に後を引く。
一旦入り込んでしまうと、あの世界が暫く頭から離れない。
物語の余韻で眠れなくなるほど。
何度も読み返しては心の中で泣いている。

実際に起こった「稲葉事件」などをベースに描かれる、北海道の闇。
作中で描かれている社会問題は様々である。
極道・警察の癒着、虐待、家庭内暴力、ネグレクト、部落差別、発達障害、麻薬、PTSD、共依存ーーーーー。
893の抗争を中心に展開するので、勿論カジュアルに流血するし、思わず目を覆いたくなる残虐なシーンは満載。
主人公達は何度も何度も酷い目に遭うし、本人達も何かしら罪を犯しているのだが、この人の作品で描かれるのは一貫して「魂の救済」
人が愚かな誤ちに堕ちていくのは、環境のせいなのか、それとも個人の素質や弱さのせいなのか解らなくなる。
表面的な暴力よりも何よりも痛いのは、心の奥底…心臓に突き刺さって取れない氷の破片。
孤独、寂寥、深い傷、血で血を洗う胸の痛み。
現実では決して許されるはずのない罪や、硬く閉ざされた心が、互いを求め合うことによって次第に溶かされていく。
これから悲劇が訪れようとも、揺るぎない愛。

同作者の『高3限定』は後味の悪さが際立っていたが(そのため感想をまとめ切れていない)、この『コオリオニ』は個人的に最強のハッピーエンドだった。
後味の悪さを上回る爽快感。

実写のエロ・グロ・バイオレンスってホントに苦手なんだけど、漫画ではサラッと読めてしまうな〜。
線画の美しさとコマ運びのお陰か、モノクロ映画を見ているようだ。

悲劇のヒロイン〜真性基×外のサイコパス、とクルクル表情を変える惡の華・八敷はまるで現代のジルベールだな。
共依存体質の怪物。
美しきバケモノ。
物語の前半では、“顔が強張ったお人形さん”だった彼が、次第に柔らかい笑顔を魅せるようになっていく過程は堪らない(ラスト後のコーテンコール編は特に可愛らしい)。
“普通で在り続けよう”とした鬼戸の内面の異常性にも震えるし、佐伯の悲哀、敵役の組長・塩部にすら見え隠れする人間味、名脇役の沖置など、人物の描き方や心理描写が非常に巧み。
同じシーンでも、視点を変えることによって全く別の印象を抱かせる演出力。
違和感のない伏線の張り巡らせ方。

竹宮恵子の『風と木の詩』が、当時の少女漫画のタブーを破って新境地を開拓したものだとしたら、『コオリオニ』も俄然アリだと思うんだ。
また、ふと吉田秋生の『BANANA FISH』を思い出したが、『コオリオニ』には奥村英二のような純朴な人間は一切登場しない(だからこそ非日常にトリップできる)。
他に彷彿させたのは、森川久美の『南京ロードに花吹雪』(こちらは日中戦争最中のチャイナマフィアもの)。

歳を食って、画面や文字を追うのが面倒になり、漫画から距離を置くようになって久しいけど(ヨボ過ぎる)、寝ても覚めても『コオリオニ』のことを考えているし、ここまで語りたくなる漫画に出会えたことが幸せだ…。
購入してから数ヶ月放置してしまった自分を殴りたい(『高3限定』によるトラウマのせい)。
梶本レイカ氏の活休を知り、読むのを躊躇っていたけど、筆を折った理由が納得できる作品で。
安易に「今後も作品を読み続けたい」と口に出し難い、業界の凄まじさすら感じる。
世界のどこかに必要としている人は必ず居るけど、圧倒的に業界の需要は少なかった。
最後の作品としての完成度が素晴らしいだけに悔しくなる。

“商業BLは主に作家買いしかしない”私のリストに入っていた数少ない作家さんなのに…(初期のよしながふみ、藤たまき、小野塚カホリ、中村明日美子、西田東が神です笑)。

私としては、みなさんが仰っている「ジャンルの枠を超えた!」「BLの枠に納まらない」という言葉は使いたくないな。
コレは、「JUNEの流れを汲む“BL”というジャンルだからこそ為せる技なのだ!」と、つい力説したくなる。
ジャンルの枠を超えるか超えないかギリギリの作風でありながら、一定のジャンル内でしか成し得ないものだったのだと。

活休してから需要が高まるなんて…皮肉過ぎる。


きっとここには「梶本レイカ コオリオニ」で検索して辿り着いた方もいらっしゃると思うので、少しだけご紹介します。
10年前に活動休止したdeadmanというバンドです。
deadmanは「死人」ではなく、「死刑囚・受刑者・死にゆく人」という意味。



とても好きでした(やっぱり業界の需要の問題で活休してしまった)。
今も心の片隅に居続けています。
漫画とバンド、表現手段は異なるものの、どこか似通った匂いがする。
良かったら少しだけでも触れてみてください。

◆【日刊デッドマン】音源感想まとめ
http://pinkblood.blog2.fc2.com/blog-entry-4840.html


話が逸れました。

それにしても、最初の単行本『ミ・ディアブロ』、大幅に加筆修正された『高3限定』に比べると確実に漫画としてのクオリティーが上がっていて、ホントにホントに勿体ないな…と思いました。
あんなに気迫のある絵を描き、丁寧に物語を紡いでも報酬的に報われなかったら心も折れるかな…。

欲を言えば、『高3限定』を『コオリオニ』の絵柄で読みたかった!(アレはアレで作画の不安定さがホラーであり魅力だったけど、あそこから一体どうやってこんなに画風を安定させたんだ!プロってすげえええええ!そして商業こえええええ!)

暴力・暴力・暴力の嵐、特殊なセッ●スのオンパレードなので読者を選ぶと思うが、きっとこの物語を求めて止まない人がまだまだ沢山いるはず。
私が漫画を読み始めて●十年、突如としてトップに躍り出た作品です。
もっと多くの方の手に取って頂けますよう。
どうか最後までページを閉じることなく…。

※併せて『断崖 親なるもの』も読むとすっげー胸糞悪くなること請け合い。日本の史実的には通じている。


◆梶本レイカ個人ブログ「***tito info(商業同人/休止中)」
http://kajimotore.tito.kilo.jp/
※活動休止の心境が少し語られています。切ない。

4865891447コオリオニ(上) (BABYコミックス)
梶本レイカ
ふゅーじょんぷろだくと 2016-02-24

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4865891455コオリオニ(下) (BABYコミックス)
梶本レイカ
ふゅーじょんぷろだくと 2016-02-24

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4893937502高3限定(POE BACKS Babyコミックスextra)
梶本レイカ
ふゅーじょんぷろだくと 2012-05-24

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4893937766高3限定 2巻(POE BACKS Babyコミックスextra)
梶本レイカ
ふゅーじょんぷろだくと 2012-10-24

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4893938401高3限定(3) (POE BACKS/BabyコミックスEXTRA) (POE BACKS Babyコミックスextra)
梶本レイカ
ふゅーじょんぷろだくと 2013-09-24

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◆映画『日本で一番悪い奴ら』 | 2016.6.25
http://www.nichiwaru.com/
※同様の事件をモチーフに、綾野剛主演で映画が制作されているそうです。

4062932709恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白 (講談社文庫)
稲葉 圭昭
講談社 2016-01-15

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4479305890北海道警察 日本で一番悪い奴ら (だいわ文庫)
織川 隆
大和書房 2016-04-09

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